学会について
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一般社団法人日本鉱物科学会 会長 大和田 正明
今年度から日本鉱物科学会の会長に就任しました大和田です.今後2年間,どうかよろしくお願い申し上げます.
さて,この3年間はコロナ禍によって,学会を取り巻く様子は大きく変わってきました.昨年2022年9月,3年ぶりの対面学会を新潟大学で開催することができました.遠隔での学会と異なり,お互いが間近で議論できたことは,研究の発展にとって有意義でした.コロナ感染はまだ続いていますが,感染防止に注意しつつ,年会を含めた学会活動を会員の皆様と推し進めたいと考えています.
日本鉱物科学会では,昨年から学会誌がデジタル化されました.こうした変化はメリットとデメリットを伴います.しかし,我々はメリットを活かしつつ,デメリットの部分を少しでも補うようにしたいと考えています.例えば,学術誌としてのJournal of Mineralogical and Petrological Sciences (JMPS)や岩石鉱物科学は,別刷り代に変わってページチャージをお願いしますが,デジタル化に伴い,カラー図表や写真が無料で掲載できます.また,現在,JMPS誌のオープンアクセス化に向けてクリエイティブ・コモンズのライセンス表示などの作業を進めています.先日の理事会において方針案が承認されました.オープンアクセスジャーナルは,誰もが閲覧ができ,二次利用についてもクリエイティブ・コモンズライセンスで明確に定義された雑誌です.オープンアクセス化によって,より多くの方にJMPSの掲載論文を閲覧・引用してもらうことが期待されます.また,年に一度開催される年会もハイブリッド方式を利用すれば,海外からの講演も可能です.遠隔方式によって,時節にかなった課題を取り上げた講演会はいつでも開催できます.そして岩石鉱物科学誌の編集委員会では,テーマ別の企画などを検討しています.年会や学術雑誌は学会のポテンシャルを世に問う重要な役割を担っています.コロナ禍で外向きの活動が一時期停滞していましたが,発想を転換して我々のポテンシャルを最大限に引き出したいと思います.
日本鉱物科学会は法人化して6年が経過しました.ある程度軌道に乗ってきたかに思いますが,会員数の減少傾向は止まりません.少子化に伴う現象といってしまえば,それまでですが,「学生達にとって魅力的な学会なのか」,「第一線で活躍している方々に必要とされているのか」さらには「鉱物科学の正しい普及につとめているのか」について,常に問ながら活動することが重要です.日本鉱物科学会は,地球科学系の学会の中でも鉱物科学を担う重要な位置を占めています.鉱物科学は大地を構成する基本的構成物の性質や成り立ちを解明する学問であると同時に物質科学的側面を兼ね備えています.こうしたユニークな特徴をいかして周辺の学問領域とも協力しあい,高め合っていくことが求められています.鉱物科学が基礎科学と実践科学を兼ね備えた「豊かな地球科学」へ発展することを自らの行動を通して推し進め,学会の発展を目指したいと考えています.